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金融庁からの注意喚起~ファンドラップについて~

「金融庁からのお願い・注意喚起」にて、ファンドラップについて注意喚起を行っています。

ファンドラップは、投資家が複数の投資信託を一括で購入することができる商品です。
しかし、高コストであることや、安全資産の組み入れ比率が高いことから、真に顧客利益に資するものか、
商品性についての再考が求められています。

実際どの程度魅力的なのでしょうか?
今回は、流行りのファンドラップでの運用が果たして本当に有効なのかを解説していきたいと思います。

1. ファンドラップとは、証券会社に手数料を支払うことで、出資者に合わせた運用を行ってくれるという最近流行りの資産運用サービスです。

● 投資信託も数が多すぎてどれを選んでいいのか分からない
● 自分で株や債券を買うのは難しい

こういった人達に向けて、カウンセリングの結果を元に、証券会社のトレーダーがあなたに合った運用をしてくれるとされています。
まるで「投資のプロが運用を代行してくれる」かのようなサービスに感じるかもしれませんが、本当に優れたサービスなのでしょうか?

 

ファンドラップがおすすめできない3つの理由

1. 一人一人に合わせたサービスにはならない

ファンドラップは、カウンセリングによって「一人一人に合わせた資産運用を代行する」というサービスにお金(手数料)を払うものです。

「投資家一人一人の嗜好性に合わせたポートフォリオを組む」と聞くと、投資のプロが運用を代行してくれるコンシェルジュのようなサービスを想像するかもしれませんが、実際のクオリティは優れたものではありません。
「カウンセリング」などと言いますが、実際はただのアンケートです。

・運用資金は?
・資産運用の期間は?
・資産運用では利益を追求したいか、手堅く安定的に運用したいか?

こういった大まかな質問に回答するのですが、この程度の質問で、果たして本当に投資家の考えの本質や細かい戦略を理解することなどできるのでしょうか?

実際には、いくつかのパターンに顧客(投資家)を分類し、そのパターンごとの運用をしているにすぎません。

「あなたに合った」などと言っていますが、実際はカテゴリー分けされたパターンの一つに分類されているにすぎないのです。

AIやビッグデータを活用するならまだしも、パターン分け程度のカスタマイズでコンシェルジュを名乗られては、
たまったものではありません。

人生設計を大きく左右する資産運用において、この程度のサービスがおすすめできるとは到底思えません。

2. 運用のレベルが低い

ファンドラップでは証券会社の職員が、投資家ごとにそれぞれに合った運用をしてくれるということになっています。

まるで運用(トレーディング)のプロが運用を遂行してくれるかのようですが、決してそうではありません。

そもそも先述の通り、アンケートによるパターン分けで運用の方針は立てられます。

また、運用担当者も一証券会社の職員であり、トレーディングのプロフェッショナルではありません。

「大手金融機関の職員」というだけで腕が立つと勘違いしてしまう人も少なくないかもしれませんが、証券会社の職員が運用に精通しているかというとそうではありません。

そもそも証券会社のメイン業務は、株式や債券などの証券を取引する際の「窓口」であり、顧客の資金を運用することではありません。

家電量販店のような小売店のスタッフ(営業マン)に、製品開発を依頼する人はいません。
製品についての表面的な知識は仕入れているでしょうし、違いを比べることはできても、あなたにあった製品を見極めることはできないでしょう。

もし相談でもしようものなら、そのときノルマとなっている製品を勧められるであろうことは目に見えています。

自分に必要な商品でなく不要な商品が入っている福袋のように、投資先を証券会社選定の目に見えないラップに包んで保有することはやめましょう。

3. 二重手数料でコストが高い

ファンドラップは運用を代行することに対して手数料を払うサービスです(その質も大したことはありませんが…)

追加の手数料を払わなければいけなく、また最低金額が数百万円程度とある程度高いため、上質なサービスをイメージしてしまいますが、その中身は「投資信託」の売買を繰り返している程度にすぎません。

しかも、この「投資信託で運用すること」こそが新たな問題を引き起こしています。

そもそも投資信託とは、株や債券を組み合わせて、リスクを分散させたり様々な局面に対応できるように作り上げられたパッケージ商品です。
つまり、投資信託を組成する時点で、アセットマネジメント会社に手数料を支払っており、株や債券を組み合わせる過程で、コストが発生しています。

ファンドラップでは、これに加えて運用に対しても追加の手数料を支払います。

ファンドラップで運用する場合には、この投資信託の手数料と、ファンドラップの手数料が重ねて必要になります。
つまり、二重に手数料を払うのがファンドラップなのです。

表面的な手数料だけに惑わされることなく、サービスの仕組みをきちんと理解しなければ本質的なコストは把握できません。

ここまで解説してきた通り、ファンドラップでの運用は決してオススメできるものではありません。

①カスタマイズも不十分なポートフォリオを
②レベルの低いトレーダーが運用し
③高いコスト(二重の手数料)を支払う

これがファンドラップのサービスの実態です。
実際、金融庁もこの構造やサービス品質を問題視しています。

ファンドラップ、運用益の顧客割合が減少
(引用:投信観測所 日本経済新聞)

投資家が金融機関に投資信託での資産運用を一任する「ファンドラップ」で、運用損益がプラスの顧客割合が大幅に減ったことがわかった。ファンドラップを提供している主要15社が公表した2023年3月末時点の「共通KPI(成果指標)」を集計したところ、運用益を確保できた顧客の割合は単純平均で53.7%にとどまり、前年比で26.0ポイント低下した(図表1)。世界の主要な資産が値下がりし、ファンドラップのパフォーマンスが悪化したことが背景にある。

 

本当に質の高いサービスを望むなら

証券会社からすると、本当に値上がりし続ける銘柄の場合、長期保有されてしまう可能性が高くあまり手数料を取ることができません。

そこで適度に儲かったり損をしたりする銘柄をアレコレと紹介し、値動きがあるたびに、「こっちを売ってあっちを買って」と売買を勧めていたのです。

顧客としても銘柄を選んでトレードをしているような気分になりますが、実際は掌の上で踊らされているにすぎません。

※ 優れた投資家は、本当に価値のある銘柄を吟味し、優れた投資先に資金を集中させてあれこれとフラフラしたりしません。銘柄の選定(調査・分析)に心血を注ぎ、「これだ!」と思えるものを見つけ出すことが最も重要なのです。