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【米国市況】S&P500上げ削る、関税巡る不安で1ドル一時143円台

米国株はどれほど割高? Wall Street Journal 2025.5.20. 5:55am JST

米株式相場は、ドナルド・トランプ大統領の関税政策に伴う当初の打撃を吸収し、関税発表後の下げ幅を解消した。だがその結果、「一般的な指標で見ると、現在の株価は非常に割高」という年初の懸念が再燃している。

ここ数年の大幅な株高を受けて一部のアナリストは2025年に入り、バリュエーションが高水準なため米経済に問題の兆しが浮上した場合に株価は特に崩れやすくなっている、との懸念を示していた。そして、株式の年初来リターンは債券をやや下回っている。株価が最近、反発したというのにだ。

現在の米国株価がいかに割高で、それが今後のパフォーマンスにどのような影響をもたらす可能性があるかを検証する。

株価収益率

株式の投資尺度は数多くある。最もよく知られているのは株価収益率(PER)だ。 PERの一般的な使い方は、株価を、企業の過去12カ月の利益、アナリストが予想する今後12カ月の利益、あるいは「景気循環調整後利益(過去10年間の年間平均利益をインフレ調整したもの)」と比較することだ。S&P500種指数全体で見ると、これら三つの指標はいずれも、投資家が1株利益(EPS)に対して、これまでよりも高い価格を支払っていることを示している。

株価収益率

投資家が1株利益(EPS)に対して、これまでよりも高い価格を支払っていることを示している。

経験則

株価が割高に見えても、すぐに急落するわけではないという経験則があります。

例えば、1920年代のアメリカの好況期や90年代のITバブルのように、市場が長期間にわたって高騰し続けることがあります。

しかし、こうした上昇はいつか終わりを迎え、結果として株価は長期的な下落傾向に転じることが多いです。そのため、株価のバリュエーション(株価の割高・割安の判断基準)と、株式の過去の長期リターン(例えば10年間の収益率)には密接な関係があるといえます。

つまり、「割高な状態が続いた後、市場は調整し、長期的なリターンにも影響を与える可能性が高い」ということです。

益回りの欠点

ニューヨーク大学スターン経営大学院のアスワス・ダモダラン教授は金融業界で「バリュエーションの第一人者」の言葉を引用すると

S&P500種指数の益回りの欠点として、将来の利益成長を考慮していない点を指摘しています。このため、株式が毎年一定の利払いがある債券のように扱われてしまうという問題があります。また、バリュエーションが相場変動の予測に有効であるという証拠はほとんどないと述べています。

ただし、この計算方法は個別株の評価に使うものであり、投資信託・ETF指数全体の売買には適用していないとのことです。

米国株はどれほど割高?債券で対策

平常の実践的活用

税金を考慮しない場合、約60年前にS&P500種指数に1ドルを投資した投資家は、超過CAPE利回りが特に低い水準に落ち込んだ時に10年債に完全にシフトすることで、市場全体を上回るパフォーマンスを上げることができたことが分かった。

例えば、超過CAPE利回りの月間平均が1.75%を下回った月の後に債券に投資し、それ以外は株式に投資した場合、実質年率リターンは6.6%となり、株式を保有し続けた場合より0.5ポイント高くなった。

平常時の実践的活用

投資戦略でバリュエーション指標を活用することで、将来のリターンを合理的に予測でき、リスク許容度に応じたポートフォリオ調整が可能になる。若い投資家は株式中心が望ましいが、キャリア中盤では安定性重視の戦略が好まれる傾向がある。また、分析によると、超過CAPE利回りが低い時期に米国10年債へ投資をシフトすると、市場平均を超える成果が得られる可能性が示されてます。

為替と株式、国債の関係は?

為替(外国為替)、株式市場、国債市場は互いに深く関係しています。それぞれの市場が影響を及ぼし合い、経済全体の流れを作っています。

1.為替、株式、国債は相互に影響を与える関係にあります。

2.例えば、円安は輸出企業に有利で株価を押し上げますし、円高や金利変動も為替や国債に影響を及ぼします。

3.経済不安時には、安全資産として国債が選ばれる傾向もあります。

ファンダメンタル分析

経済指標や政策、企業業績を考慮して市場の動向を予測します。

  • 金利動向:金利が上昇すると国債の魅力が高まり、株価に影響。
  • 経済成長率(GDP:景気が良ければ株高、悪ければ国債に資金が流れやすい。
  • 中央銀行の政策:金融緩和や引き締めによる市場への影響。

 

相関分析

為替・株式・国債の関係を統計的に分析し、現状を読み解きます。 (その時々の世界市場動向により変化します)

  • 円安輸出企業にプラス株高
  • 株安リスク回避で国債買い増国債価格上昇(利回り低下)
  • 金利上昇円高圧力外国投資減少

現在(2025/5/30)の市場動向をまとめると、以下のような状況です。

  • 為替:円は対ドルで143円台前半と、ニューヨーク市場終値比で上昇しています。これは、日米首脳の電話会談を受けて円安是正への警戒感が強まったことが影響しています。
  • 株式:日本株は金利低下を受けて反発し、日経平均株価は37,160(前日比+0.5%)となっています。特に電機関連株が上昇しています。
  • 国債:過去最高に上昇していた30年・40年国債の利回り10bp以上低下し、債券市場は上昇傾向にあります。日銀の国債買い入れオペが需給改善への期待を高めています。

市場は金利動向や政策の影響を受けながら変動しているので、今後の動きにも注目です。

経済不安時には、株式市場のリスクが高まるため、投資家は安全資産である国債や金ゴールドに資金を移します。この結果、国債価格が上昇し、利回りが低下すること・金ゴールド価格が上昇することが多いです。特に、景気後退や金融危機の際に見られる傾向です。

但し、経済不安時には、為替レートも不安定になります。為替損が出ない取引が有益だと思われます。